規程は移行後もそのまま使える??
2012年1月5日

公益総研 非営利法人総合研究所
首席研究員兼CEO 福島 達也
(公益財団法人公益推進協会 代表理事)

 

明けましておめでとうございます。

昨年は震災や景気低迷で暗いニュースが多かったが、今年はどうだろうか。

公益法人を先頭に、明るく楽しい日本の復活を実現したいものである。



しかし、申請現場は大混乱が続いている。

ただでさえ県庁の担当者が少ない公益法人申請の窓口に、今申請が殺到しているのだ。

無理もない。4月1日に登記をしないと、3月決算の団体は「分かち決算」となり、 ただでさえ会計基準の見直しなどで忙しい法人の経理担当者は、大混乱になってしまうだろう。

だから4月1日登記のために、どの法人も昨年の11月頃までに申請を完了しているのだが、中には12月になってから駆け込んでいる例もある。

その結果、県庁の窓口では、申請数が予想を大きく上回り、一人の担当者が30法人以上抱える結果となっている。

30法人をどうやって3月の認定認可に間に合わせるのだろうか。

まず無理だろう。

ということは、4月1日登記をめざす法人の中には、県庁の事情で間に合わないところもかなり出てくるのではないだろうか。

弊社でも約30法人が4月1日を目指して申請しており、何とか間に合って欲しいと毎日祈るような気持である。



さてさて、お家の事情はそこまでにして、申請の話しを。

申請が完了してホッとしている法人も多いだろうが、忘れていないだろうか?

そう、移行後の準備だ。

4月1日の登記に向けて、移行申請がほぼ終わり、その後の認定認可のための協議や補正・修正の嵐が続いているが、そんな中、顧問先の公益法人から良く聞かれることがある。

 それは、現在の特例民法法人時に運用している規程類は、公益法人移行後又は一般法人移行後もそのまま使っていいのか?それとも変更が必要なのか?必要ならばいつどこで議決すればよいのか?という3点セットである。



公益法人は普通、定款(又は寄付行為)、定款施行規則、総会評議員会運営規則、理事会議事運営規則、会費規則、役員職務権限規則、情報公開規則等、法人によって様々な規程や規則を作っている。

しかし、あくまでもそれは民法上の公益法人が作った規程類であり、新法にはそぐわないものもあるはずである。

そこで、どうやって変更したらよいのか心配になるのであろう。

移行申請が終わる前後になると山のような相談が弊社にも訪れるというわけだ。

まず、ズバリ回答しよう。

特例民法法人時代に機関決定した諸規程の制定は、すべて移行後の法人においてもそのまま使ってよいのだ。つまり、法的には有効である。

確かに、特例民法法人における理事会は一般法人法上の理事会ではないので、新法人に移行したらすぐに理事会や総会(評議員会)を開催して、議決しなければ有効にならないと思ってしまう人もいるだろう。

しかし、移行前においては定款上設けられた機関として諸権限を有しているので、移行登記前にその時の理事会等が決定承認した事項は、自分たちがたとえ辞めた後であっても、移行後の法人にそのまま引き継がれるのだ。だから安心してかまえていて欲しい。

しかし、法人名が変わるだけならまだしも、内容がどう考えてもおかしいというものもたくさん出てきているはず。

例えば、理事会運営規程の中で、「評議員の選任」などが記載されていれば、それは完全な法律違反なのである。だから一刻も早く修正しなければならない。

ということで、まずはすべての規則規程をじっくりと見てみよう。

そして、法律的におかしなところをピックアップしてみよう。

その後、もちろん機関決定が必要なのだが、その時期はいつでも良い。絶対に移行登記前でないといけないということはないが、できれば移行登記直前の理事会等にかけよう。

だから、4月1日登記予定ならば、3月に理事会や評議員会が開かれるケースがほとんどだから、そこで議決してすることが望ましい。

もちろん、うんと前にやっても良い。

万が一、忘れていたらどうしよう。

それは、いくら法律違反の状態であっても、その部分だけが無効になるので、その他すべての条文が無効になるわけではないので、できるだけ早く、気がついた次の理事会等で変更して議決承認すればよいのだ。

先ほどの例で、4月1日登記予定の法人ならば、5月か6月に開催される理事会等で変更して議決しよう。

なお、移行前の理事会で議決する時の議案の例は以下の通り。



※特に修正しなくてもそのまま使える場合の承認の取り方

第●号議案 移行後の規程規則の適用について

議長は、本議案につき、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律に従い、○○○団法人に移行する前から適用している規程・規則類の一切について、○○○団法人移行後もそのまま適用させることを確認し承認を求めたところ、満場異議なく原案のとおり承認可決した。
なお、その際の規程規則に記載されている法人名は新法人の名称とすることを確認した。

※修正が必要な場合は、その規程は修正しよう。

第●号議案 理事会運営規程の変更について・・・などと。

その他、名刺、封筒、表札、書籍、パンフレット等々、相当多くのものを変更しなくてはいけない。

まあ、昔の名称のまま使っていて、なくなったら新しい名称にするという手もあるが・・・。

でも、そうすると、公益法人制度改革を知っている人からは「まだ移行していないのですか?これから大変ですね」などと言われてしまうだろう。

やっぱりこの際だから一気に変えてしまうことをお勧めしたい。

公益総研株式会社 非営利法人総合研究所

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